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アビームコンサルティング株式会社
近藤 敬氏 (執行役員 プリンシパル 経営改革セクター)
大学卒業後、政府系特殊法人にて貿易・投資関連の企画業務に携わる。 ペンシルバニア大学ウォートンスクールにてMBA取得後、外資系食品メーカーでのマーケティング職に就く。 戦略コンサルティングファーム2社を経て、アビームコンサルティングに参画。 バリューチェーン改革、ビジネスモデル構築などを中心に幅広いプロジェクトに従事。著書多数。
これまでの人生を振り返ると、生活感・仕事感を元軍人に影響されてきたと思う。最初の社会人生活の上司は特殊部隊出身者であったし、ルームメートやクラスメート、プロジェクトメンバーで影響力があったのは元軍人だった。
昨今の国際情勢を見るに、戦争のやり方も昔と今はずいぶん変わってきた。
昔の戦争は、肉弾戦が中心だが、どれだけの数の兵をどこに配置し、どのように兵を進め、拠点を力で勝ち取るかが勝負であった。
その戦争も、次第に核抑止を元にした武器力の勝負、そして、この武器力を背景とした少数精鋭部隊の超短期、超局地戦が主体となっている。
我々が携わる上流系コンサルティングプロジェクトは、とかく、作戦本部、参謀的存在のように捉えられがちであるが、自分はそうは思わない。むしろ、特殊部隊的な活動に非常に近いと思っている。
まずは、必要とされるスキルである。
特殊部隊のメンバーは、何にしても標準以上のスキルを持ちつつも、とりわけ何かに秀でていることが要求される。何かに秀でているスキルを持ち寄った複数メンバーがより高いアウトプットを出せるチームとして組成され、作戦の遂行に投入される。
作戦の目的は明確で、作戦遂行期間は短期間である。そのために、何度も想定のトレーニングを受け、現場に送り込まれる。全員が無事で帰れるかわからない。したがって、仮にヘリの操縦技術をもったメンバーが負傷しても、だれかが代替して帰着できるように対応できる。我々のプロジェクトとプロジェクトメンバーの組成も非常に近いものがある。
プロジェクトは数ヶ月、場合によっては数週間。その期間のうちに、目的を遂行し、帰ってこなくてはならない。メンバーはそのプロジェクトミッションに応じて組成される。プロジェクトで遂行すべきタスクと必要なケイパビリティは提案時に決められている。プロジェクト期間が短期であればあるほど、タスクの見直し、メンバーの交代の余裕はない。
したがって、メンバーは必要とされるタスク内容の専門分野に精通し、かつ、プロジェクト遂行上求められる力を十分発揮でき、かつ、広く応用力が効くスタッフがアサインされやすい。専門分野が狭すぎてもいけない。広すぎると、他によりよいスキルをもった専門家がいるのではといった探索が始まってしまう。
したがって、常に上、そして横へと専門領域を広げる努力を個人的に意識し、領域を広げていかないとタレントが陳腐化してしまう。トンガリをもったジェネラリストであることが要求されている。トンガリの大きさは、求められるサービス内容の市場の広さに合致する。
実際にいざ、プロジェクトが始まり、現場に入ってみると、想定外の状態も発生しうる。想定以上にデータが整備されていなかった、想定以上に結論に対する裏をとらなくてはならなかった。お客さま側から参画するはずだったメンバーの参画時間がなかなかとれなかったなど、初期計画を遂行できない要因はたくさん出てくる。そのようなときに臨機応変に対応する、そんなコンサルタントの現場力が今一番要求されている。
何がそもそもの目的であったか。現場にいくと一番身近な現場の意見が大きくなる。本当にそうなのか。このお客さまの会社にとって一番よいのは何か。お客さまのお客さま、お客さまの現場の状態、現場の声、お客さまの経営層、役員層の立場にたって考えて整理してみる。そもそも目的が何であったのか、そしてその目的を達成するためにはどのような要件を満たしていなくてはならなかったのか。その要件を今遂行しているタスクで満たすことができるのか。そのために追加しなくてはならないタスク、削ってもいいタスクは何か。そんな問答がチームの中で行われる。
何を活かし、何を変えるか。これが遂行面での難題である。そしてこの難題を臨機応変に乗り切り目的を達成する。そして、次なる目的を見極めていく。
目的の完遂にとどまらず、次に何をやっていくべきかという先読み力を持って完結する。
このような状況は、実プロジェクトでないとなかなか経験できない。経験豊富なコンサルタントほど、現場対応力が強いコンサルタントである。
映画の世界になるが、特殊部隊の活躍ぶりを紹介する映画が、戦争の主体の変化に伴い増えてきたように思える。ボーンシリーズ、ミッションインポシブルやソルトなどがいい例だ。共通するのは登場人物たちの業務遂行能力の高さ。目的を見失わずに、完遂する現場力とタフさは映画の世界ではあるものの非常に感銘を受ける。個人的にこんなアクション映画を通じ、常に、今の仕事との類似性を感じている。

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