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コンサルタントのススメ 特別コラム

アビームコンサルティング株式会社
嶋村 貴史氏 (シニアマネージャー 経営改革セクター)

大学卒業後、外資系コンサルティングファームにて戦略コンサルティングに携わる。
その後、大手ITベンダーにて事業企画に携わった後、マサチューセッツ工科大学へ短期留学。
帰国後、2005年にアビームコンサルティングに入社。
08年よりマネージャー。11年より現職。


特別コラム 第7回【負けて初めて知ったこと】

私はそうそうのことでは、言葉に詰まったりしない。
常に「相手は次に何を言うだろうか」ということを考えた上で、2歩先の発言を意識しているからである。
大概のことには滞りなく、対応してきていた。

ところが、とあるクライアントとの打合せの際に全く予期しない回答が返ってきたことがあり、
初めて「言葉に詰まってしまった」ことがある。今日はその時の話をしたい。

アイスブレークというものがある。
これは打合せや、ディスカッションを始める前に、場の空気を和やかにしたり、発言しやすい雰囲気にする為、突然脈絡のない話(もちろん本題に関係する話題をフランクに投げかける場合もある)をすることである。

私は打合せを始める前に、かなりの頻度でアイスブレークすることを心がけている。

その日、私はいつものようにアイスブレークの話題として、「仕事上でうれしい時ってどんな時ですか?」と投げかけた。
クライアントは一様に、「自分の企画が通った時」、「お客様が笑顔になった時」、といった私が想定範囲内の回答を返してくる。
こういった回答が返ってくるのは想定範囲内であり、もちろんそこからの深堀り質問も準備している。
ここから会話を盛り上げ、討議へと進んでいくのが私のスタンス。

その日も何も問題なく、時に笑いも起こりながら順調にアイスブレークから討議へと進もうとしていた。
そして、最後の1人にアイスブレークの話題を振った時に、想定外の回答が返ってきた。

私:「■さんが仕事上でうれしい時ってどんな時ですか?」
  (直球の回答は、「前月比売上が超えた時や、スタッフがやる気になった時」、変化球では、「嶋村さんはどう思いますか?」くらいだと想定)

■さん:「帰宅する時に決まっているじゃないですか。」

私(頭の中):「●▽□■×○。。。ちょっと待て、今帰宅する時って言ったぞ、そんな回答は頭の引き出しに無いぞ。。。」

私:「あ、そうですね。。。」

■さん:「冗談ですよ、ちょっと嶋村さんが用意していないだろうなという回答をしてみたかっただけです。想定外だったでしょ?」


このリーダーは全て私が準備していることを完全に見抜いていた。
こちらは2歩先を見て質問しているが、向こうはその半歩先を見て回答していた。
完全にこちらの負けである。

この後、普通なら自分のスタイルをさらに半歩先を見るように、より準備を入念にするのだろう。
私の対応は違った。この時に悟ったことは、全てを予測するなんて無理だということ。限界があるということ。

想定外の回答に対しては、正直に「想定外ですね」というスタイルへと変えていった。
肩に力が入らず、却って仕事が楽になった気がする。

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